隠岐一宮『 由良比女神社 』がめちゃくちゃイカしてる
隠岐・西ノ島。
この地を訪れた観光客が『この島やたらイカ推しだな』と気付くまでに時間は掛かりません。
西ノ島の玄関である別府港の目の前には6つのスポットライトに照らされたイカ。
この他にも観光マップ・ポスター・看板・マンホールなど、いたる所でイカを目にします。
熱いイカ推しの理由は隠岐一宮『由良比女神社』に残るイカ寄せ伝説に由来します。
その昔、由良比女命が桶に乗って海を渡っている時に、海に浸した手をイカが噛んでしまいました。
それ以来、由良比女命の元へは毎年イカの群がお詫びに集まるようになりました。
元の社は知夫里島の鳥賊浜にありましたが、社が移されるとイカの群れも西ノ島へ集まるようになったと言われています。
とまぁ、ここまではよくある神話じゃないですか。
しかし!イカ寄せ伝説にはまだ続きがあるのです。
ある冬の夜、イカ寄せの浜に大量のイカの群れが押し寄せました。
打ち上げられたイカが浜を埋め尽くし、足の踏み場もありません。
人々は大喜びでイカを拾い、イカを売ったお金である人は畑を会、ある人は水田を買い、幸せに暮らしたのでした。
めでたしめでたし。
なんと、後半部分は昭和3年に起きた実話。
更に、年々数は減っているもののイカ寄せ浜には今でもイカが集まります。
夢物語なんかじゃない現在進行形の伝説なのです。
イカ寄せ浜に集まるのはソデイカ(アカイカ)という種類のイカで、島では『どうたりいか』と呼ばれています。
©wikipedia
ソデイカ(学名: Thysanoteuthis rhombus)は全世界の熱帯から亜熱帯水域にかけて生息するイカの一種である。
成体で胴長約100cm、体重は20kgほど、最高30kgにまで成長する大型の種である。
イカ漁といえば普通は船で海に出て釣り上げるものですが、イカ寄せ浜に集まるイカはまるで伝説通りに由良姫神社を目指しているかのように自ら浅瀬へ向かって泳いでいきます。
座礁して浜辺に打ち上げられたイカは誰でも簡単に拾うことができるので、毎年冬になるとイカ寄せ浜には狩人の目をした老若男女が集まります。
実際に私も小学生の頃にイカを拾ってました。
つまり、私は伝説の当事者であると言っても過言ではないわけです。
拾ったイカはもちろん食べてもいいんですが、漁協に持って行くと現金で買い取ってもらえて、状態によっては高値がつくこともある冬のボーナスステージ。
まだ手が届かない距離にいるうちに『いた!』と指差してしまい、網を持って待ち構えていた高学年や大人に獲物を奪われる悔しさを経験して島の子供は大人への階段を上ります。
癖になってんだ、イカ探して歩くの
由良姫神社でしか見られない珍しい彫刻はいかが?
海にばかり気を取られがちですが、振り返ると山にもイカがいます。
由良比女命は漁業や海上守護の神様として信仰され、別名『するめ大明神』や『いか神様』とも呼ばれていたそうです。
灯篭の彫刻や拝殿の欄間にイカが彫刻されている神社はきっと他にはないんじゃないでしょうか。
御朱印にまでイカのスタンプが付いています。
手を噛まれて以来、毎年イカが大群で押し寄せてきて
社を移しても付いて来られて
境内にはいたるところにイカの装飾
実はイカアレルギーの私は、イカと一悶着あった同士として本当にこれでいいのか気が気でない。
由良比女神社の御朱印
宮司さんは社務所に常駐しておらず、基本的に無人の神社です。
御朱印は別府港にある隠岐観光協会で頂けます。
由良比女神社
島根県隠岐郡西ノ島町 浦郷922番地
参拝料:無料
参拝時間:なし
駐車場:あり
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